ヒーターの設置・寒さ対策・保温方法
日本の冬はハムスターの適温以下(約20℃)になるため、保温をしないと凍死や低体温症で死亡することがあります。
普段は大丈夫でも、飼い主が留守にした家は予想以上に温度が下がるため、年末年始の連休は特に危険です。
ハムスターは老化も早いので、基礎代謝の高い去年が大丈夫だったので、今年も大丈夫だと油断すると危険です。
ほ乳類は体温維持のためにほとんどのエネルギーを消費するため、適切な温度にすれば、無駄な代謝を抑えられ、病気に強くなり、寿命が延びる可能性があります。
単なる寒さをしのぐ為の物ではなく、ハムスターを健康に保つために必要な飼育用品だと考えましょう。
人間用の暖房器具で十分?
ハムスターを凍死させてしまう人の典型的なパターンです。
野生の冬でも、巣穴の外(ケージ)は寒いですが、巣穴の寝床(巣箱)は温かいため、飼育では巣箱の温度を一定にすることが基本です。
ハムスターは冬用の寝床を作るだけでなく、体に脂肪を溜めたり、冬毛に生え替わり、冬モードの体質に切り替わります。
ハムスターを飼っている部屋でストーブやエアコンを使うと、ケージの中も温まりますが、巣箱の中には熱が伝わりにくく、巣箱の中より巣箱の外の方が温度が高くなります。
逆に飼い主が部屋に居ないと、巣箱の方が温かくなり、飼い主が居るときとの温度差が大きくなります。
このことで、換毛に失敗したり、冬に適した寝床を作れないだけでなく、飼い主の油断も生まれます。
ヒーターの種類と補助用品
記事が長くなりすぎるため、詳しい情報や保温用品の商品は別ページになっています。
パネルヒーター
下から暖める、床下暖房のようなヒーター。
省エネで巣箱だけを暖められるため、ハムスターの様に巣箱の中でほとんど過ごすペットに適している。
空気を暖めるのが苦手で、巣箱に熱が籠もらないと、敷き布団はあるが掛け布団が無い状態です。
省エネゆえに寒すぎたり、巣箱の中と外との温暖さが大きくなったりと、単体で利用すると体調を崩すこともある。
保温電球(ひよこ電球)
赤外線ランプを使った、こたつの様なヒーター。
空気を暖めることが得意で、熱帯出身や上下移動が多い爬虫類や鳥類の商品が多い。
ケージに温度勾配(場所によって温度差ができる)ため、巣箱を適温にして、ケージ全体を軽く暖めたりできる。
電球が大きく熱くなるため、ケージが狭いとケージの外に取り付けるなど、不効率な設置方法になる。
サーモスタット
センサーで測って電源をON/OFFしてくれる、温度を最適に保つための装置。
ヒーターだけでは温度調整ができなかったり、設置場所とハムスターの居る場所に温度差ができ、サーモスタットを利用しないと熱すぎたり寒すぎたりします。
ヒーター表面の最高温度は、パネルヒーターで50℃、保温電球で200℃くらいになります。
40〜50度でも低温火傷(中までこんがり状態で危ない)になり、人間用のストーブは300〜1000℃以上ですが、ペットの飼育ではヒーターまでの距離が近いためコントロールが難しいのです。
逆に寒いと巣箱の中が10℃以上に温度が上がらないこともあり、ヒーター単体だと不安定なオーブン状態です。
温度計・湿度計
サーモスタットとヒーターの設定が完全なら温度計は必要ありませんが、湿度がハムスターによって変わってきます。
ヒーターだけだと乾燥してしまい、どのヒーターでも巣箱の湿度が20%くらいまで下がります。
ハムスターから出る水分だけでなく、巣箱の中にエサを溜めたりオシッコをしたりすると、蒸発した水分で、水滴で湿ったり乾燥したりで、変形したり割れる原因になります。
ハムスターは寝床の作り方で、多少の温度のコントロールはできますが、湿度は分からないようです。
使い捨てカイロ
通院やケージの掃除、停電など一時的に利用すること。
酸化することで発熱するので、空気(酸素)の量が多いと温度が高くなります。
しかし、冷たい空気に触れさせすぎると、熱量が足りなくなりあまり温まりません。
人間の体や衣服に貼り付けて利用する様に作られているため、パネルヒーターのように巣箱の底に敷いたり、ウッドチップに埋めてしまうと、うまく温まらないことがあります。タオルで包むなどして温度のコントロールをしましょう。
ヒーターの電気代
トイレ付近を暖めるとトイレやトイレ砂が暖かく、オシッコを我慢することもありません。薄目なのは私に気づいたからで、普段は目を閉じ耳を倒したままオシッコをします。
メーカー公称値のデータではなく、実際にハムスターを飼っているケージに取り付け、消費電力を計測する機械で使って計算しました。
サーモスタットの設定温度が違うのは、後述の方法でハムスターに巣箱を換気させているからです。
1kWh26円で計算しています。
飼い主の住んでいる隣の部屋で飼っていますが、ストーブなどの暖房器具はなく、室温は1月で8度から13度です。
ジャンガリアンハムスターの設置例
冬でも巣箱の外を餌を食べたり走り回る若い個体のため、巣箱以外は暖めていません。
ケージの底に敷くフィルムタイプの8Wのパネルヒーターと、サーモスタット。設定温度は25度。
温度管理と警告ランプのみのサーモスタットを使用。消費電力は1W以下です。
平均6W。1日3.744円。30日112.32円。
念のためケージに設置していない状態で消費電力を測ってみましたが、最大で8Wだったので、1日の3/4はフルパワーで暖めている状態です。逆に考えると1日の1/4しかヒーターに余裕がない状態です。もしかすると深夜や早朝は、熱量が足りていない可能性があります。
寒いはずの夜遅くに回し車を走る原因は、体を温めていたのかもしれません。
ゴールデンハムスターの設置例
寒くなると出不精になるため、パネルヒーターで巣箱を暖め、保温電球で巣箱の入り口とトイレ付近も暖めています。
ケージの中に入れる10Wのパネルヒーターと50Wの保温電球、サーモスタット。設定温度は21度。
照明やタイマーの管理ができる高機能のサーモスタットを使用。こちらも消費電力は1W以下です。
平均27W。1日16.848円。30日505.44円。
パネルヒーターと保温電球の合計が60Wなので、フルパワーで稼働している時間は半分以下です。
巣箱の中に入れているパネルヒーターは、50℃近くまで上げられ、保温電球もあるため、かなり余裕のある保温方法です。
外は寒いため、散歩に出してくれと要求しませんが、位置的に回し車も保温電球で暖められるため、暇だと回し車をのんびり歩いています。
いつヒーターを設置する?
冬毛になったロボロフスキーハムスター。ハムスターの中では換毛は分かりやすい方です。
体毛が冬毛に生え替わったことを確認してから、ヒーターを低めに設定して様子を見ましょう。
季節に敏感なロボロフスキーハムスターだと、我が家(神戸)では11月中頃には完全に冬毛に切り替わります。
夏毛と冬毛の違いが分からないときは、写真館から夏と冬に撮影した写真と比較しましょう。
ちなみに私も、ゴールデンハムスターは毛並みを見ただけでは分からないので、巣作りや散歩などの行動で判断しています。
初心者では判断が難しいと思うので、最高気温が20度を下回ったら設置しましょう。
特に毛色の違うカラーハムスターやロングヘアーは、夏毛や冬毛を固定していることもあるので、うまく換毛できず極端に温度差に弱いことがあります。
ペットショップから迎えたばかりなど、温度管理されている環境から移った場合は、換毛が終わるまで期間(1ヶ月間くらい)はケージ全体を暖め、徐々に温度を下げてゆくこと。
掃除の時にヒーターの温度を確認する
ヒーターをキャリーケージの下に敷き、実際の設置方法に近い状態で温度を測っている。
ヒーターを設置する時は、ケージの掃除を兼ねると思います。
この時に、ハムスターを移動させるキャリーケージにヒータを設置し、キャリーケージを暖めるだけではなく、ヒーターが正常部動作するか確認してから、ハムスターをキャリーケージに移動させます。
最大出力でヒータを設定し、1時間くらい放置して温度を測りましょう。
写真を撮影した日は、12月としては暖かめ、家の外12℃、部屋17℃、キャリーケージを挟むと30℃でした。ちなみにメーカー公称値では45℃で、ヒーターの上に直接温度計を置くと35℃なので5℃ほどロスしています。
このヒーターは寒くなると少し温度が不足します。40℃くらいまで温度が上がるのなら、サーモスタットと併用すれば更に安心できると思います。
いつヒーターを外す?
外す場合も、換毛や行動などを目安します。
12月と4月の温度が同じくらいなので、4月頃まではヒーターは設置したままにし、様子を見て暑くなりすぎないようにしましょう。
季節の変わり目は、気温の高い日が増え、ヒーターの温度が高くなりすぎるため、突然ヒーターを設置したり撤去すると温度差が大きくなり、体調を崩してしまいます。
保温電球を持っている場合は、電球のワット数を下げましょう。
2つ以上ヒーターを設置しているときは、数を減らしましょう。
ヒーター単体で使用すると適温を超えてしまうので、サーモスタットが全くONにならなくなってからヒーターを外す方法がベストです。
巣箱の種類
ヒーターのケーブル用に穴の開いた木の巣箱。底板を二層にして床下暖房風に使っていましたが、汚れが取れず使うのを止めました。
熱は上に上昇し、腹を冷やさないため、下から暖めるのが良いので、ハムスターの巣箱は底がないタイプが良い。
ヒーターを使うと、湿度が20%位まで下がることがあり、ヒーターの熱と乾燥で木が曲がったり割れやすくなります。実際に巣箱が割れたことがあります。
巣箱が割れると熱が逃げてしまい、ヒーターが原因である日突然に凍死することもあるので、注意しましょう。
ロボロフスキーハムスターや懐いていないなど、巣箱に食べかすを捨てるハムスターは、巣箱に食べかすから出る水分がヒーターの熱で蒸発して、プラスチックや金属など吸水性のない素材だと、水滴が付くくらい巣箱が湿ります。
集団飼育をしていたり、巣箱でオシッコをしていると、さらに湿気ます。
巣箱の中がトンネル状態になるくらいウッドチップを持ち込んでしまうと、湿気を逃がすために巣箱に穴を開けても、ほぼ効果がありません。
ヒーターによってはケーブルを巣箱の外に出す必要があるので、段ボール箱の様な、加工が簡単で保温性が高く、使い捨てができる巣箱が良いです。
カップ焼きそばの容器
フチを切って出入り口の穴を開けるだけ。慣れればカップ麺ができるまでに加工と設置ができます。
発泡スチロールは断熱性が高く、簡単に穴を開けられるのでサーモスタットも取り付け易いですが、湿気が逃げず、熱で溶けたり囓ると危ないので上級者向け。
より断熱効果を高めたければ、2枚重ねや間に断熱材を挟むのも簡単。
難点はテープが剥がれやすいので、センサーを取り付けにくいこと。
巣箱の高さ・広さ
段ボールと木工ボンドとガムテープで作った、幅15cm×奥15cm×高さ12cmのロボロフスキー用の巣箱。
巣箱の内側に、接着面を作らないようにするのがコツ。
余裕のある巣箱のサイズにして、温度の微調整を、寝床作りや寝場所でハムスター自身が調節できるようにします。
巣箱の高さは、ハムスターがウッドチップを5cmくらいは敷くので、巣箱の中で立ち上がっても頭がぶつからないようにする。
まずはハムスターの全長から全長プラス5cmが目安にしましょう。
ヒーターが無くても3匹は入れる大きさが最低で、巣箱の中にも温度勾配を作るのなら、かなり大きめにした方が良い。
巣箱にエサを溜めてしまう場合は、更に大きく。
ケージにスペースがあるのならできるだけ大きくする。
ヒーターの設置方法
共通事項
バスタオル、段ボール、断熱シートをケージの下に敷いて熱が逃げないようにする。
振動防止にもなるので、夏でも敷いておくこと。
フィルムタイプのパネルヒーター
熱が逃げやすいため消費電力が高めで。
ケージの底、巣箱の真下に敷いて使うため設置も掃除も簡単ですが、熱が伝わりにくく逃げやすいのが難点。
保護カバーがないため、足が付いているケージは、一ヶ所に重さがかかり接触不良を起こすことがあります。
そのため、ケージの底に、足がある、平らではない場合は、ヒーターの上にもう一枚タオルを敷く必要がありますが、断熱効果もあり熱量が不足するためお薦めできません。
厚みのあるパネルヒーター
この上に巣箱を置きます。ケーブルが硬くて真っ直ぐ設置できず。
ケージの中の巣箱の底に、パネルヒーターを敷いて使うため、配線の取り回しが面倒なのが難点。
設置後はヒーターを動かすことが少ないので、慣れてしまえばフィルムタイプより安心です。
目の前にケーブルがあると気になるようで、私が飼っているハムスターでもケーブルを囓ります。
囓り防止したケーブルでも、目に付かないようにケーブルをウッドチップに埋めたり、すのこで隠したり、気にならないようにしましょう。
ヒーターが小さく、巣箱から電源ケーブルを出す必要がある場合は、巣箱に穴を開けましょう。
パネルヒーターを2枚使う
保温電球が使えない場合や、パネルヒーター1枚では足りないときに、2枚使います。
上下から挟む場合や、下と横に使う場合も、下に出力の高いヒーターを使うこと。
横から暖める場合は、必ずハムスターの背中暖める。
入り口の方を向いて寝ていることが多いので、反対側に設置する。
体を横から暖めてしまうと、左右のどちらかだけが温かくなり体調を崩します。
保温電球(ひよこ電球)
ケージ手前に巣箱。奥に保温電球を付け。撮影用に赤く光るレフ球を使っていますが、普段は光らないタイプ。
パネルヒーターとは違って取り付け位置に自由度があり、巣箱の直上に設置する以外にも、保温電球の角度や距離で温度調整ができます。
巣箱に直上に設置する場合は、巣箱の真ん中から少しずらして、巣箱の出入り口から入る空気を利用し温度や湿度の調整をする。
補助的に利用しているのなら、入り口側へ設置し、巣箱周辺も暖める。
高さが足りないケージだと、巣箱との距離が近くなりすぎ、少し危険。ゴールデンハムスターだと高さ45cmのケージが必須。
保温電球用のクリップでだけでも調整できますが、水槽や爬虫類用のケージなら、上蓋を外し高さを稼ぐのもあり。
サーモスタット・温度計・湿度計の設置場所
粘着テープはハムスターの天敵なので、剥がれないようにする。
巣箱にセンサーを入る穴を開けます。
センサーとケーブルをマスキングテープで貼ります。
そのままだと剥がれるかもしれないので、上から強力な布テープを貼ります。
湿度計はセンサー部分に穴が開いているので、空気を取り込めるようにテープで完全に防がないこと。
ハムスターの居る位置にサーモスタットのセンサーを設置すべきですが、無理なので巣箱の中の横か上に設置します。
全く同じ飼育セットを持っているのなら、ハムスターとセンサーの位置での温度差を測っておくと、目安になります。
ケーブルの囓り防止
派手なテープの方が剥がれたときに気づきやすいです。
電源ケーブル、センサーケーブル共、ケージに這わしマスキングテープで貼ります。
ケーブルが溶けたり、テープが剥がれないよう、保温電球とは反対に這わせること。
ヒーターのセンサーやケーブルを囓るのは、縄張りに入ってきた異物を排除しようとする行動で、私が飼っているハムスターでも完全には止められません。
ハムスターにとってケーブルは木の根や天敵のヘビに見えるので、気にしないように設置することが大切です。
ハムスターは上下に移動しない動物なので、横方向に這わせる距離を減らしましょう。
手の込んだことをするとケーブルや巣箱がケージに固定されてしまい、掃除の時が大変で、事故を起こしても救出できないかもしれません。
ケーブルが目に前にあったり、ブラブラしているとハムスターが気にするので、目立たないように固定して、工具など使わずに簡単に外せるよう、基本的にマスキングテープ以外は使わないようにしましょう。
アルミパイプやタピオカ用のストローを使う
センサーの細いサーモスタットの場合は、パイプにセンサーを入れて、巣箱に煙突のように立てます。
一度作ってしまうと、巣箱に穴を開け突き刺すだけなので楽です。
パイプが分厚いと温度差ができます。
スパイラルチューブを使う
スパイラルチューブは自身の重さが問題になるため、しっかりテープで貼り付けたり、針金で補強するなどしましょう。
事故などを考えると、ケーブルに囓り防止した商品や、取り付けやすいケージに買い替えた方が良いです。
ヒーターの温度が足りない
ハムスターが巣箱の出入り口を塞いだり、ウッドチップを詰め込んで巣箱の中がトンネルのようになって場合は、ヒーターの暖かさが足りず寒くて籠もっている状態です。
音が聞こえづらくなり、エサの時間になっても飼い主に気づかず巣箱から出てこないなど、亡くなっていても気づかないこともあります。
ヒーターの熱で冬に熱中症で亡くなる事故が何度もあったせいか、小動物用に売られているヒーター単体だと、温度が低すぎる製品があります。
温度が足りない場合は、消費電力の高いヒーターに買い替えるか、ヒーターを増やした方が、いろいろ考えるより手っ取り早く安全です。
断熱材を使う
保温電球でケージを暖めている場合の方法で、パネルヒーターで巣箱だけを暖めているのなら、ほとんど効果はありません。
断熱シートでケージを囲ってしまうと太陽光を遮ってしまい、生活のリズムが狂うだけでなく、換毛(夏毛と冬毛が生え替わる)に失敗して冬なのに寒さに弱い体質になる可能性があります。
ケージ全体を囲うと熱や水分が逃げず危険なので、気泡緩衝材(プチプチ)や段ボールなどを使って部分だけを囲いましょう。
金網ケージだとケージ越しに断熱材を囓ったり持って帰ろうとするので、危険です。
ちなみに、衣装ケースを使わないようにと説明書に書いてあるヒーターもあり、ケージを衣装ケースで囲うこともしないようにしましょう。そもそも、ペットを飼ったりヒーターで暖めたりすることを前提に作られていません。
水槽に買い替えるのもありですが、ヒーターを取り付けることが前提で作ってある爬虫類用のケージが最適です。
ヒーターが熱すぎる
寒いはずなのに、巣箱の外でボーッとしている姿を見ることが増えたり、巣箱から頭だけ出して寝ているなど、かなり危険なレベルです。
暑さを我慢し、そのまま熱中症になり亡くなる場合もあります。
共通
巣箱の出入り口を高くする、穴を開けるなど、巣箱から熱を逃げやすくする。
段ボールなどの紙製の巣箱は、ハムスター自身が囓って加工して出入り口を広げたりすることもあります。
フィルムタイプのパネルヒーター
ヒーターとケージの間にタオルなど敷く。
厚みのあるパネルヒーター
巣箱の高さを高くする。
ウッドチップを詰むことでヒーターとの距離を遠くする。
ウッドチップだけでなく新聞紙など、入れて置くと使ってくれる。新聞紙は水分を吸いやすいので、巣箱の湿度が上がりすぎていないかの目安にもできる。
こまめに寝床を作り替えるジャンガリアンハムスターやロボロフスキーハムスターなら大丈夫ですが、ゴールデンハムスターやチャイニーズハムスターには不向き。
パネルヒーターを裏返す(発熱面を下にする)方法もありますが、ヒーターによっては効果が無かったり、温まらないなどのトラブルもあります。
保温電球(ひよこ電球)
距離を調整する。
レフ球タイプの保温電球の場合は、クリップの角度を変える。
巣箱に温度勾配を作る
ハムスターの行動や飼育環境に合わせて、位置やサイズを調節しよう。
サーモスタットを利用してピッタリの温度にできても、その時のハムスターには少し暑いかもしれません。
巣箱の中にわずかな温度差を作って、実際にはどれくらいの温度が最適なのかを知り、ヒーターの設置方法を変えられないかを考え、快適にしてあげましょう。
小型のヒーターを使う
広い巣箱に小さいパネルヒーターを利用すると、巣箱の外から入る空気と混じって、温度勾配ができます。
他にはヒーターを巣箱からはみ出すように設置する方法があります。
巣箱からヒーターをはみ出させると、ヒーターが冷えてしまい、温まりにくくなります。
ヒーターの発熱量が高すぎると暑くなり、外気が冷たすぎると寒くなるため、サーモスタットがないと難しいと思います。
ストーンベッドを使う
ヒーターの上にストーンベッドを置いて、熱の伝わる速度を遅らせます。
置くだけなので自由に設置できますが、巣箱の真ん中で寝るのなら端に、奥で寝るのなら手前に置くなど、ハムスターの居る位置が良いのか、巣箱の出入り口から入る外気を利用した方が良いのか考えて設置しましょう。
ケージに温度勾配を作る・全体を暖める
保温電球1で巣箱の補助。保温電球2でケージを軽く暖める。
部屋が寒すぎたり、病気で体温の調整ができなくなったり、体が不自由になると必要になります。
1日以上家を留守にする予定があるのなら、いつでも設置できる準備はしましょう。
巣箱にパネルヒーター、ケージに保温電球を取り付けると、自然と温度勾配ができます。
必ず巣箱を適温にして、春だと勘違いしないようにケージは少し寒いくらいにしましょう。
特にゴールデンハムスターやチャイニーズハムスターは、冬に弱いので、パネルヒーターで巣箱だけ暖めていると、巣箱から出てこなくなります。
ハムスターがよく使う、トイレやトンネル、エサを食べたりオヤツをもらうコミュニケーションゾーンも暖めましょう。
保温電球はオーブンと同じ仕組みなので、野菜も乾燥しやすくなりますが、エサも一緒に暖めることもでき便利です。
回し車は高さがあり、部分的に熱くなることがあるので、回し車の近くに保温電球を設置しないか、手で触っても熱くないように設置すること。
昼は温かい、誰か人がいるなどで、巣箱の外の温度に心配がない場合は、サーモスタットを2台利用し、巣箱は常に適温にしておき、タイマー付きサーモスタットを利用して夜だけ巣箱の外のヒーターをONにするのもありです。
保温電球2の場所から巣箱を暖めると、巣箱のパネルヒーターの補助、ケージの保温、ハムスターと保温電球の距離も稼げますが、ケージが広い場合は保温電球を2つ使った方が無難です。
サーモスタットを使っても温度調整が必要な理由
設定温度を1度上げるだけで、出入り口を塞がなくなりました。
巣箱の出入り口が2つあると、飼い主から見えない方(手前は温度変化が大きくなりがち)だけで調節していることもあります。
巣箱の中の温度が低くなると、ハムスターは巣箱の出入り口を塞いで熱が逃げないようにします。
そうなると、巣箱に汚れた空気や湿気がこもり、細菌が繁殖しやすくなり、飼い主にも気づきにくくなります。
巣箱にエサを溜めたりオシッコをしてしまう個体は、不衛生になって掃除の頻度が増え、さらに巣箱に籠もってしまい悪循環になります。
巣箱の中と外の温度差を作ると、対流ができ空気が出入りします。いわゆる「すきま風」です。
ハムスターは巣箱の中で過ごす時間が長いため、ハムスター自身にすきま風を利用し巣箱の換気をしてもらいます。他のペットとの保温方法の違う所です。
ハムスターにとって風は不快なため、巣箱の中と外の温度差が大きすぎても、巣箱を塞いでしまうことがあります。
その場合は、保温電球で巣箱近くを少し暖めたり、大きめの巣箱を使うなど温かい場所を増やし、巣箱の中と外の温度差を減らしましょう
秋から冬への温度調整は、巣箱の温度を1度ずつ上げて調節しましょう。
逆に、冬から春への温度調整は、気温の変化に合わせて巣箱の少しずつ温度を下げましょう。
巣箱の中でウッドチップに埋まっていることもあるので、巣箱から出てきたときの様子や毛並みからでも判断できるようになりましょう。
サーモスタットも温度計にも誤差があり、完全では無いことも注意しましょう。
病気の時はうまく体温調整ができなくなり、さらに温度管理が難しくなります。
巣箱の上の汚れ
写真の巣箱の上が汚れは、ロボロフスキーのオシッコの跡です。
巣箱の近くかつ、温かい場所を選んで、わざわざよじ登ってオシッコをしているようです。
ちなみに、奥にある赤い物がトイレで、温かい時期はトイレでオシッコをします。
トイレのトラブルが多いロボロフスキーでも、普通は寒くても巣箱の中ではオシッコをしません。
夏も冬も、回し車ではオシッコをしてしまいますが、ロボロフスキーは体が温まるとオシッコが出やすいのかもしれません。
巣箱の上によじ登ったときに、ケーブルが目についてしまうので、囓り防止対策も大切です。
ハムスターのオシッコは量が少ないので、ヒーターの熱ですぐに蒸発してしまいますが、巣箱が木製だと汚れたり割れたりする原因にもなります。
その他の注意事項
しつこいようですが、サーモスタットは必須です。
できた気になっているときが危ないです。
初心者は25度、ベテラン飼い主は20℃を目安にして、冬にしか見られない行動も楽しめる様にしましょう。
あくまでも目安で、体調や個体によって温度は調節すること。
暖めるのではなく、基礎代謝を乱さないための「保温」だということは忘れないように。
季節感を無くすと、換毛にできなかったり、行動の違いが分からないので、何より飼っていても楽しくないです。
ケージ全体を適温にするのは、繁殖や病気になったときだけ。
人間自身も体温(代謝)があり発熱しているため、飼い主が部屋に居るだけでも部屋は少し暖まります。
当然、ハムスターも発熱していますが、人間の住む環境では体温だけでは熱量が足りないよ、ということです。
人間のように服を着て代謝の多い動物でも寒いのに、ハムスターが寒くないわけがないです。
飼い主が快適に過ごせ、1日中ハムスターと同じ部屋いて、ハムスターの中では冬に強いジャンガリアンやロボロフスキーの若い個体なら、ヒータは無くても大丈夫なこともありますが、飼い主が居ないときに気温が下がります。
病気になったときは、エアコンで体温が下がりすぎないように、夏でもヒーターは使える状態にしている方が良いです。
ヒーターのパッケージ写真のペットは、ヒーターの場所以外が寒いので、仕方なくそこにいます。
眠らずこっちを見ているのは、安全ではないので警戒しているからです。
撮影スタジオは人が多く寒いことが多いので、どうしてもそんな感じになります。
ヒーターが快適なら巣箱からなかなか出てこなくなり、様子を見ることも難しくなるのが、飼育環境では正しい姿です。
保温球なら、光の届く範囲は温かくなるため、ハムスターのケージの横にミルワームのケージを置くと、一緒に暖められます。
ミルワームは太陽光が必要で、ハムスターは太陽光に弱いので、一緒に暖める場合はミルワームを日の差す方に置くこと。
ちなみにミルワームのような外温動物は、太陽光を利用して体温を調整するため、下から暖めるとダメです。
温度に敏感なロボロフスキーの巣箱にサーモスタットを設置して、2つのケージの温度管理をしたり、1つの保温電球で2つのケージを同時に暖めたりもできますが、個体や種類ごとに適した温度があるので無茶しないようにしましょう。
細菌(バイオ)を使ったトイレ砂や床材を使っているなどは、臭いや乾燥だけでなく細菌の異常繁殖注意。
実際にペット用のヒーターを、キノコの栽培に使ってる人もいます。
年齢的に弱っているけど、直接的な死因が凍死ということも多いです。犬は凍死が多いらしいです。
冬はエネルギーを温存しやすい体質になり、保温できる飼育用品も多く、細菌の繁殖も抑えられ、食べ物も傷みづらくなど、人間に飼育されているハムスターにとって冬は最も安全な季節です。
布団からイメージしやすいからか、綿を巣材に利用する初心者が多いです。
足に絡まり壊死するなどの事故が多いので、間違っても綿を利用しないように!!
集団飼育しているロボロフスキーなら、凄い勢いで寝床を作りますが、ほとんどの個体は寝床作りに時間がかかります。
そのため、ヒーターの設置や巣箱の掃除の後に、シュレッダーで裁断した新聞紙を巣箱に入れたり、巣箱近くにほぐしたウッドチップを置いたりと、巣作りの手伝いをしてあげましょう。
光る保温電球を利用すると、夜は保温電球の光で観察することもできますが、見られることを嫌がる動物なのでほどほどに。