ハムスターの下痢・軟便(症状・原因)
下痢が危ない理由
ハムスターの下痢は、数日で亡くなることがある危険な症状です。
特にハムスターのような、体が小さい省エネ体質の動物は、すぐにエネルギー不足になり、体力を回復できず亡くなってしまうため、緊急性の高い状態です。
ウェットテイルなどの腐敗臭の強い細菌性の下痢(分泌性下痢)は、特に危険です。
下痢とは
下痢は「下痢症」といって、病気ではなく症状の総称です。
ハムスターには、前胃や腺胃(後胃)、盲腸などの臓器や、食糞の習性ありますが、簡略して説明します。[ 野生で食べている餌 ] [ ハムスターの消化器 ] に詳しい説明があります。
口から食べた物は、胃で消化され、ほとんどの栄養が小腸で吸収されます。小腸ではドロドロの液状ですが、大腸でゆっくり水分が吸収され、肛門に近づくほど固形に近づいてゆきます。水分や栄養が減った物は、ある程度、直腸に溜まるとウンチがしたくなり、肛門から糞として出ます。
この流れが遅くなり、大腸で水分を吸収しすぎるのが「便秘」です。ハムスターは乾燥地帯の生き物で、体内でうまく水分を循環できるので、人間でいうところの、少し硬くてコロコロした便秘に近い糞をするのが普通です。言い換えれば、ハムスターは下痢をしにくい動物なのです。
その反対が「下痢」で、水っぽかったり細い糞をします。
下痢と聞けば大腸や腸内細菌を思い出すかもしれませんが、実際には簡単ではありません。
内蔵のほとんどが消化器官で、口から肛門までの1ヶ所が悪いだけでも消化不良を起こします。たとえば、消化しにくい餌ばかり与えていたのが原因で、消化酵素を出す膵臓が弱ってしまい、消化しにくい餌やカロリーが高い餌を食べると下痢をするなど、人間でもすぐに原因が分からないことがあります。
下痢の種類と症状
下痢をする原因は、大まかに3パターンあります。
同時に2つ以上の下痢を起こしたり、下痢が原因で脱腸や腸閉塞などの、別の症状が起こることがあります。
分泌性下痢(ぶんぴつせいげり)
細菌やウイルス、寄生虫などの感染症、アレルギーの原因など、危険な物が腸に入ると、腸が大量の水分や塩分を使って、体の外に原因を出そうとする、防御のための下痢です。
ハムスターで、カンピロバクターなどの感染症が原因なら「ウェットテイル」と言われ、かなり危険な下痢です。本来なら、危ない物を体の外に出そうとしている反応なので、止めてはならない下痢ですが、食中毒(感染症)で亡くなる人間がいるように、ひどく弱るので、すぐに治療が必要です。
浸透圧性下痢(しんとうあつせいげり)
腸で水分が吸収されにくい状態になると、起こる下痢です。
牛乳の乳糖や甘味料が、原因として有名です。また、便秘に良いとされている食べ物は、水分の吸収を阻害する物が多いので、下痢の原因になります。人間の場合は、食物繊維も下痢の原因になりますが、ハムスターは食物繊維を分解できるので、便秘の予防にはなりません。
他には、抗生物質の服用で、腸内細菌のバランスを崩したり、寄生虫が原因になることもあります。
腸が炎症などを起こし、吸収障がいが原因で起こる下痢は、「滲出性下痢(しんしゅつせいげり)」とも言います。
寄生虫が原因の場合は、寄生虫の駆除に長引くことがありますが、原因を取り除けば簡単に治る下痢です。
ハムスターは、人間に例えると便秘がちな糞をする動物なので、ハムスターが浸透圧性下痢を起こすようなら、かなり弱っているか、間違った飼い方をしています。
運動亢進性下痢(うんどうこうしんせいげり)
ストレス、食べ過ぎ、冷えなどで、腸の動きが激しくなるため、起こる下痢です。
ハムスターは節約の達人なので、食べ過ぎることは、まずありません。巣作りも自分でできるので、弱っていたり、飼育環境がかなり悪くないと「冷え性」にもなりません。
問題はストレスで、ストレスが原因で自律神経のバランスを崩し、冷えを起こしたり、胃潰瘍や腸炎になって、腸内細菌のバランスを崩し、他の病気にかかりやすくなるなど、下痢の原因をどんどん増やしてしまいます。