もうオヤジとは言わせない!コレさえ読めばハムスターの達人に!

敷材・床材・巣材(役割)

床材の役割

商品名は「敷材(しきざい)」や「マット」と言うことがありますが、ケージ全体に敷く「床材(とこざい)」と、寝床に使う「巣材(すざい)」と言葉を使い分けて説明します。
ハムスターは自分で寝床を作る習性があり、床材と巣材の両方に使える物を選ぶ必要があります。しかし、ケージが広いなら床材と巣材を使い分けても良いと思います。

野生とは気候も環境も違うところで、ハムスターを生活させるので完全な物はないですが、床材は必ず必要な飼育用品で、一生をその中で暮らすハムスターには大切な役割があります。そのため、ペットとの接し方や考え方が表れやすい飼育用品なので、しっかり理解して適した床材を使ってあげましょう。

実験動物として飼育されている場合は、巣箱がなかったり、温度管理がされていたりするので、ペットとして飼われているハムスターと床材の目的が異なることもありますが、ペットでは床材に以下の役割があります。

断熱効果(床材)

ケージが放熱板になってしまうため、ケージから伝わる寒さから守ったり、ケージから逃げる熱を減らしたりする、断熱材の役割があります。靴を脱いで歩いたり、畳の上に布団を敷いて寝る習慣のある日本人には、大切さが分かりやすいと思います。

寝床(巣材)

寒さを防ぐだけでなく、ヒーターの上に床材を敷いて、その厚みで寝床の温度を調節をします。
ハムスターは、カロリーの消費を抑えたり、すぐに反応できるように、腹を下に丸まり、少し不安定な姿勢で寝ます。そのため、盛り上げた巣材に、体が収まるようにくぼみを作り、姿勢を補助し体圧を分散させています。
寝る姿勢は、座った状態から前に倒れ込むように、股の間に頭を入れる感じですが、ジャンガリアンやロボロフスキーは、座ったままの姿勢で寝ていることもあります。おそらく、何か気になることがあるので、周りの状況を把握するために姿勢を起こしているか、太って丸まれないのだと思います。巣箱から顔だけ出して寝ている場合も、何か気になることがあると思いますが、ハムスターは夢と現実の区別が完全にできるとは思えず、寝ている最中でもストレスを感じている可能性があり、少し注意が必要です。

防音効果(床材・巣材)

ケージの外から伝わる音だけでなく、回し車の音などのケージの中からの音も吸収します。
他のハムスターが、回し車をガタガタさせている音は気にならないようですが、被捕食動物らしく、音が小さくても足音などの響く音には敏感なので、できるだけ騒音を減らす必要があります。
飼い主の足音などを聞いて怯えたり、餌をねだりに来たりなど、マイナスに働くことが多く、床材では完全に防げないため、ケージを床に直接置かないことや、段ボールをケージの底に敷くなどの工夫も忘れずに。
デジタル家電から出る音声は、人間の耳にしか聞こえない音域しか含んでいないので、ハムスターが怖がることは少ないですが、楽器など生の音はかなり怖がります。まずは、人間が楽しむ音は、人間(大型肉食動物)を本能的に興奮させるために使う音で、ハムスターのような小さな生き物が怖がるのは当然だと思いましょう。

バリアフリー化(床材)

病中だけなく、床材を使って飼育用品の高さを調整します。
給水器までの高さが足りないのなら、床材でスロープを作ったり、巣箱の底の高さを床材より低くして、ハムスターにとって安心できる巣箱にしたりなど、簡単に工夫できます。

吸水効果(床材・巣材)

床材は乾燥した物ですが、空気中の水分をグングン吸う訳ではないので、湿度の調整は関係ない程度です。しかし、給水器の水がこぼれたり、野菜の水分で、ケージにカビが生えたり汚れたりすることは防げ、ケージの中を清潔に保てます。

臭いの定着(床材・巣材)

ハムスターにとって大切なことで、ケージを掃除しすぎると起こるトラブルの原因です。
飼い主には無臭でも、臭腺や体臭、小便、フケなども含め、いろいろな臭いをケージの中に残し、なわばりや道順など、ハムスターにとっての大切な情報を臭いとして残しています。そのため、臭いが残りにくい素材や、臭いが強い素材は、トラブルの原因になります。

清潔な環境を保つ(床材・巣材)

直接ケージが汚れにくいため、掃除が楽になります。
実験動物やペットショップのような飼い方では、快適性より清潔感が大切なので、ハムスターの生態は無視されています。また、キッチンペーパーだけを敷くような飼い方は、実験動物の飼い方をアレンジしたものなので、真似しないようにしましょう。
ハムスターの飼い主なら、ハムスターが歩く震動などで、床材から出た粉塵や、ハムスターの臭いが付いたフケや毛、糞などが、床材の隙間からケージの底に落ちて、ハムスターの臭いを残すことや、ハムスター自身が住みやすい環境作りを助けたり維持したり、それでいて清潔に保つことが大切なので、間違えないようにしましょう。
人間の感覚で考えると、汚れを残しながら清潔にするという矛盾を両立させるわけですが、ハムスターは清潔な生き物で、偏見をなくせば汚れではないため、難しくはないです。

フィルターとして(床材・巣材)

細菌やウイルス、化学物質などの侵入を防ぐフィルターになります。
床材には防塵効果があり、落ちた物が再び空気中に舞い上がりにくくなり、巣箱を床材で塞ぐと、音や光も防いだりできます。また、臭いも空気中を漂う微粒子なので、人間の臭いなどの外部からの臭いも緩和してくれます。しかし牧草くらい粗くて、吸水性がないと、フローリング(床板)の上にすだれを置いているのと同じなので、効果が期待できません。
自然では土や砂の地面、人間の家では畳やじゅうたんが、地面や床に落ちたいろいろな物を吸収し、そこで暮らす生き物の健康を保っています。しかし人間が作る環境では、循環が起こらないために、換気や掃除を適度に行う必要があります。

光を乱反射させる(床材)

床材が光を反射するため、光を和らげ視認性が良くなり、ケージ内の温度が上がりにくくなります。
ハムスターにとって視認性は、ほとんど関係ありませんが、飼い主にとってはレフ板代わりになり、体調の変に気づきやすく、写真撮影もしやすくなります。
ハムスターのケージを太陽光が当たる場所に置くと、熱中症になるなどのトラブルが起こるので、日陰に設置することが大前提ですが、一時的に日が差し込む程度なら、ケージ内の温度が極端に上昇することを防げます。また、空気の対流が起こりにくくなるので、臭いが逃げることも防げます。さらに、ひよこ電球(保温球)を使ってホットスポットを作る場合は、なだらかな温度勾配を作りやすくなります。
床材自体が熱を溜めるので、ケージの底面やケージの置き場所の色が黒いなど、熱を吸収しやすい素材に対しても、わずかな違いでしかなく、ハムスターには直射日光も大敵なので、そんなこともある程度です。

毛並みを良くする(床材・巣材)

床材と体毛がこすれることで、毛並みが綺麗になります。
ハムスターは自分で毛繕いしますが、手や口を使ってメンテナンスするため、毛繕いだけでは雑菌などを飲み込んでしまいやすいです。人間の場合は風呂やブラッシングが必要になりますが、ハムスターの毛は適度な油があるため、床材にこすれるだけでも簡単に綺麗になります。結果的に病気を防げます。
ロボロフスキーは、毛が少し長く、オシッコで汚れやすいですが、体が小さく、トンネルを造るのが上手なので、床材を使っていると毛並みが良くなります。逆にゴールデンは、寝床を作るは下手ですが、上手に飼育環境を利用するので毛が汚れにくいです。そのため、どのハムスターでも床材を極端に使い分けることなく利用できるので、飼い主としてもありがたいです。
ハムスターの背中側に臭腺や肛門がないのは、地面や壁に擦れるように進化したからです。繊維状に裁断したウッドチップはブラシで毛を梳く(すく)ように擦れ、キッチンペーパーの様に平らだとほとんど体に触れません。擦れないということは、同じ下着を穿き続けていると同じで、病気や心のトラブルのきっかけになります。

衝撃軽減(床材)

怪我を減らしたり、移動しやすくします。
落下事故で怪我をしにくくなるだけでなく、少し柔らかい方が疲れにくいため、移動距離の多いハムスターには、適度な柔らかさが必要になります。
人間でも布団の上は歩きにくいので、柔らかければ良いということでもなく、ハムスターは体重が軽く体重で埋まることも少ないため、適度な柔らかさが必要です。人工物を固めたり丸めたりした弾力性の高い素材は、ハムスターが歩いても適度な堅さにならないため移動距離が減ってしまい、回し車を必要以上に使ったり、トイレを覚えない、肥満になるなどのトラブルが起こるので、使わない方が良いです。

汚れを目立たせる(床材・巣材)

床材の汚れ具合だけでなく、尿の色、血の色などが目立つと、初心者でも変化に気づきやすく、病気の早期発見に役に立ちます。
そのため、薄い色の床材を利用した方が良いです。さすがに黒っぽい色の床材だと見えませんが、床材全体に何かが付くことはなく、部分的な変化を見る物なので、白に拘る必要もありません。しかし、牧草や短冊状に切った紙、床材自体が大きいなど、全体が見渡しにくい素材は良くないです。