ハムスターを飼う準備・心構え
ハムスターなどの小動物は飼育は意外と難しく、中上級者向けのペットです。
初心者向けと紹介されることもありますが、初期投資が少ないので購入しやすいという業者の言い分で、甘く考えていると後々苦労します。
簡単に亡くなってしまう弱さと、コミュニケーション能力の低さ、正確な情報の少なさを考えると、ハムスターは上級者向けのペットと言っても良いくらいです。
ペットを飼うということ
「ペットを飼う」と聞けば、子供や女性のイメージがあると思います。しかし、「命のマネジメント」と聞くと、意味も分からないかもしれません。
正しい知識や、判断力がなくても、わずかなお金を支払うだけで、命の操作ができてしまうことが、ペットの飼育です。また、独裁者でも難しいのが命を操ることだと言われています。
ペット業者は、「かわいい」や「いやされる」といった、人にとって都合の良い言葉(本来自分より下の相手に使ったりする言葉など)を使って、効率よく命を消費させるための、死の商人的な存在でもあり、ペット業の人たちは必ずしもペットの味方ではありません。
命を預かる人間として、初心者だから、子供だからという言い訳もできませんし、法律によって犯罪者になる可能性もあります。さらに、噛まれてケガをしたり、お金や時間を浪費させられたり、当然生き物なのでいつか死にますから、自分にとってマイナスになることも多いのです。
そのような状況の中から、見た目も考え方もコミュニケーション方法も違う生き物と、共存共生する方法を探したりするだけでなく、自分とってデメリットがある判断をする状況がたくさんあります。
そんなこともあり、判断力の甘い人、社会人経験の少ない人、行動力のない人、心が病んでいる人は、ペットを飼うのには不向きです。それが、擬人化しやすく表情の分かりにくい、ハムスターのような小さな動物だと、なおさら難しいと思います。
まず、ペットを飼わないという選択肢を、何より優先に考えましょう。
ハムスターを迎える心構え
それが虐待だと気づかないことも多く、ペットのことを本気で考えると不自由になります。
以下の1つでも守れないのなら、ハムスターを飼うことができません。
ハムスターや他人の健康や安全に問題があれば、違法行為となり、警察にお世話になる場合もあります。
- ハムスターが一日中平穏に眠れる静かな場所を提供できる。
- 夜に活発に行動するので、ハムスターが出す騒音を我慢できる。
- 清潔な飼育環境を保つことができる。
- 新鮮な食べ物を、毎日準備できる。
- 必要以上にハムスターに、接しないことを約束できる。
- 注意を払って、毎日観察することができる。
- 5年近く生きることもあるので、それまでの期間、あなたが安定した生活ができる保証がある。(あなたが、旅行に行かない、入院をしない、転職や引っ越しをしないなど。)
- もしも、あなたが不在になったときに、代わりに世話をしてくれる人がいる。
- 散歩が必要になったときには、毎日決まった時間に散歩をさせることができる。
- 散歩をさせる場合、危険なモノを部屋から排除できる。
- ハムスターは運動量が多く、大きなケージが必要となるので、そのケージを買う金銭的な余裕がある。
- 他のペットを飼っている場合、ハムスターの安全を保証できる。
- あなたが、アレルギーやぜんそくを持っていないと保証できる。
- 同居している家族やペットに、アレルギーやぜんそくを持っている人がいないと保証できる。
- ハムスターが突然病気になったときに、仕事や学校を休んで付き添うことができる。または、代わりに付き添える人がいる。
- 病院代金として、数万円が必要になった場合は、そのお金を直ぐに払うことができる。
- トイレのしつけができない場合や、ハムスターが噛みついても、寛大な気持ちでいられる。
アナフィラキシーショック
アナフィラキシーショックとは、ジンマシン、呼吸困難、血圧低下、意識障害を起こし、ひどい場合は亡くなってしまう急性アレルギー反応です。
アナフィラキシーは、ハチに刺されたり、食べ物や薬品が原因の場合が多く、ネズミは人間に身近な動物なので、ハムスターが原因になる可能性はかなり低いです。しかし、ハムスターに噛まれて亡くなった人もいるので、あなたや家族にアレルギーやぜんそくがある場合は、ハムスターを飼わないようにしましょう。
そうしないと、自分だけでなく、ハムスターに関わる全員が迷惑します。過去に風評被害でハムスターが捨てられたこともありました。
ハムスターに対してアレルギーがあるかの検査は、人間の病院でできます。
アレルギーの原因になる物質と自分の血液との反応を見れば検査できるため、「ハムスターの爪の垢」にアレルギーがあるかも検査できるわけですが、検査薬をどうやって作るのか考えると、検査をすることが残酷だとも理解できるはずです。
ハムスターからうつる病気
嫌がっているのに噛まれるようなことをすることも問題。
人間と脊椎動物(せきついどうぶつ)の両方に感染する病気を、人獣共通感染症(じんじゅうきょうつうかんせんしょう) といいます。
ハムスターは人間と同じほ乳類なので、細菌やウイルス原因の病気は全て、人間とハムスターの両方にうつると思いましょう。
ここが大事なのですが、細菌もウイルスも生き物なので、何もないところから細菌やウイルスが生まれることもなく、誰かが持ってこないと細菌やウイルスが原因の病気にはならないということです。さらに、ハムスターは家にいる動物なので、自分から細菌やウイルスを持ち込むことはなく、人間がハムスターに病気をうつしてしまうことの方が可能性としては高いのです。
人間がうつしてしまいそうな病気は、インフルエンザや白癬菌(水虫)などたくさんあります。また、ハムスターの方が人間より体が弱いので、飼い主は健康でもハムスターだけ病気になる可能性もあります。
汚れた手でハムスターを触ると、常在菌を飼い主がハムスターに大量に付けてしまい、病気の原因になることがあります。
ハムスターをできるだけ触らないようにして、触る前や世話の前には必ず手を洗うようにしましょう。そうすることで、ハムスターや自分の病気が防げるだけでなく、噛まれたりすることも減ります。
ハムスターを迎える前準備
ハムスターを迎える前日までに、エサや飼育用品は全て購入しましょう。
新品の飼育用品には離型剤などが付いていたり、ホコリや他の動物のニオイも付いているので、洗ってから使用した方が安全です。また、そのペットショップに必要な物がそろっていなかったり、店員さんに知識がなかったり、セール中の商品をすすめられたりする場合もあるので、店員のセールスを余裕で断れる程度の知識は、予めもっておきましょう。
ハムスターと飼育用品を一緒に購入して、ハムスターの横でごそごそとケージのセットをすると、ハムスターがおびえてしまいます。
そのため、ハムスターを買いに行く前に、必ず飼育用品をセットしておき、ハムスターを連れて帰ってきたら、ペットショップでハムスターを入れてもらった箱ごと、巣箱の横にセットしましょう。当然、その箱は入り口部分だけ開けて、ハムスターが出入りできるようにします。
ハムスターが巣箱を使っているようなら、その箱は捨てて、巣箱を使ってくれないのなら、しばらくその箱を巣箱として使いましょう。
必要なお金や飼育用品については「ハムスターの値段・一生に掛かるお金」にあります。
2人以上で飼う場合ときの注意
動物を虐めたり捨てたりした人が落ちる地獄は、「不喜処地獄」というらしい。
責任の所在を明確にしておくこと。
飼育のトラブルだけでなく、事故死など原因が分かりづらい死因や、突然お金が必要になったりすると、揉めます。どんなトラブルも必ず原因があるため、逆に揉めないのは2人とも無責任だったということ。
見ていないところで家族が勝手にオヤツを与えたり、親が見ていないところで子供が勝手に触ってケガをさせたり、急に人間嫌いになったりと、よくある話なので来客にも注意しましょう。
飼い主にも主従関係を作る
動物でも群れにはリーダーがいます。
2人以上で飼う場合は、それぞれがルールを決めるのではなく、責任があり判断する「所有主」と手伝いをする「補佐役」に別れ、補佐する方は所有主の判断に従うこと。
お金は所有主が出し、お金が足りないときは補佐役から借りる程度にすること。
普段は所有主が世話をし、家へ帰るのが遅くなったときだけ補佐役が飼育を変わる程度にすること。
難しい言葉を使うと、命を扱うと責任がつきまとうため、「横割り組織」「セクショナリズム」はダメで、政治みたいに「責任の擦り合い」「勢力争い」で揉めて、立場の弱いハムスター(国民)が犠牲になります。
2人で飼うデメリット
お互いに毛繕いすると、親切がきっかけにケンカになることも。
2人ともハムスターの相手をしようとすると、散歩やオヤツの時間が2回以上にならないように、どちらが担当するか決めること。
飼い主同士のコミュニケーションが少ないと、さらに危険です。
オヤツが2回以上だと、同じオヤツを何度も与え栄養が偏ったり、空腹を我慢する時間が増えて体が弱ったり、主食にしているペレットを食べる量が減ります。ハムスターはこまめに食事する動物なので、オヤツをもらえないと分かると見ていないところでペレットを食べています。
散歩が2回以上だと、また後でも行けると考えたり、散歩に出した飼い主によって行く場所が違ったりして、どこを巡回したいのか何に興味があるのかも分かりづらくなることもあります。
行動や時間はハムスターの体調や考えを読み解くときに大切になるため、バラツキがあるとトラブルの発見が遅れます。
家族で飼っている場合も、お金を出している方が身勝手になることがあり、助言を聞かないこともあります。知識や倫理観がないと、1人でも危ないですが。
最初は大丈夫でも、ペットの飼育は地味な作業の積み重ねなので、慣れてくると手を抜く人も多いです。
ハムスターは犬とは違い、判断が甘い方に懐き、リーダーと思った人間に懐くとは限らないため、真面目に飼っている方が理不尽に思いケンカの原因になります。
ハムスターがどちらの飼い主の従って良いのか分からなくなると、ハムスターの自己判断で危ない行動をすることもあります。
家族で飼う
一人暮らしでない限り、実質的にペットを家族で飼っていることになりますが、就労していない子供と親とではいろいろ異なります。
子供が飼い主の場合は、何をするにも親の承諾が必要になり、特にお金が関わると親の一存で決まってしまいます。相談を聞いていると、子供が言っていることが正しく、親を説得するための相談になり、そうしている間に手遅れになることも多々ありました。
親は、お金だけでなく、子供の時間を割く、学業に影響が出るなど、命と直接関係のないことで判断していることもあり、強者の都合で弱者が犠牲になるのでは、情操教育としても逆効果です。
子供は損得勘定関係なしに直感的に判断していることも多いため、子供の言い分もしっかり聞いてあげましょう。
特に生き物についての知識や判断は、人間社会で身についた偏見を知識で補正する必要があるため、長生きしているからといって年長者が正しい判断できるとは限りません。
自分が親の場合は、無意識に自分の遺伝子(子供)を守るための判断をするため、それが相手(ハムスター)にとって本当に正しいのか自問しましょう。
子供が飼うときにありがちな話
子供が世話をしないので、親が世話をしている話もよく聞きます。
それでは子供の教育にならないいって、飢え死にさせたという話も聞いたことがありますが、そんな人間に育ててしまった親の責任なので、子供が世話をしなくなっても親が面倒を見ましょう。責任者が責任を放棄しているため、情操教育的にどっちに転んでも失敗です。
ちなみに、私がハムスターを飼い始めた理由も、もらってきた弟が世話をしなかったからで、同じように親がハムスターの飼育に、はまった話も聞いたことがあります。
子供や本気で飼いたいのか判断する方法
生態の勉強させて、1ヶ月以上経って意見が良くなっているのなら、見込みはあります。ペット動画の様な都合の良い部分だけを見ているようならダメです。所詮は自分の子供だと思いペットを飼うのを諦めましょう。
命の大切さが分かっているのなら、最優先で飼わないという選択肢を選ぶため、興味があっても気軽にペットを飼おうとはしません。その反対に、欲しがるだけで責任感や義務感のない大人もたくさんいます。
生き物が好きだからペットを飼いたいのではなく、その動物(かわいらしい物)を所有する自分が好きな人は、毛色が違う個体を複数匹飼いたがります。アクセサリーと同じ感覚です。
恋人や友達と飼う
人間の不仲が、ハムスターにも影響するため、縁が切れやすい相手との飼育はマジでやめとけ。
価値観が似ているから、恋人や友達になれるわけで、仲の良い人の意見や判断は自分を肯定することが多くなり、意外と役に立ちません。逆に極端に違うと仲違いするきっかけになる訳です。