針葉樹のアレルギーと毒性
初心者が大好きなウッドチップアレルギーの元ネタです。
可能性があるので知っておく必要はありますが、どの物質にも毒性はあるので極端な判断はしましょう。
[USER0089]です.
私の所属する、東大理学部生物科学科(旧動物学科)分子生理研究室には他にもハムスター好きが多く、Hummy、ゆきちゃん、そして、ちみーくんの写真・スケッチをたくさん載せた、独自のハムスターページを作っています。
ページを拝見いたしました.学科の名称が変わったのですね.
>News_Group alt.pets.hamsters の中で松・杉のベディングチップは小動物には刺激が強く、発ガン性もあるらしいという話題が出ていました。医学的根拠はmedline等で探しても今のところ見つからないのですが、これって本当でしょうか?
初出はこのあたりではないかと思われます.
「床敷は動物の生物学的反応に重要な影響を与える物質を含むものは使用すべきではない.たとえばマツ(Pinus属),スギ(Cedrus ヒマラヤスギ属)はマウス,ラットの肝臓のミクロゾームの酵素に変化をきたすといわれる*.
*, Committiee on Care and Use of Laboratory Animals, Institute of Laboratory Animal Resources, ational Research Council. (1978). Guide for the Care and Use of Laboratory Animals, National Academy of Sciences,Washington.」
実験動物の環境と管理 山内忠平著 出版科学総合研究所 より
>というのも最初にHummyを買ったときに、ペットショップのおじさんにこの、杉・松のベディングを勧められ、今も使い続けているからです。
お買いになった床敷の素材は正確には何でしょうか?
日本の杉の木 (Cryptomeria japonica) は日本独自の樹木といってよく,問題になっているヒマラヤスギ(Cedrus Deodara) とは別属です.問題となるのはマツで(マツについては私もわからないので牧野の日本植物図鑑をみています),アカマツ・クロマツはPinus属ですが,カラマツはLarix属です.
ちなみに研究用では,日本ではトウヒ,モミ,ツガ(トガ)等が,アメリカでは,カエデ,ブナ,カバ,ポプラ等がよく使われているようです.
#ところで植物学科はどうなったのですか?
取り急ぎ失礼します.
[USER0015]です.
あわててとりあえずひとつだけ補足です.
>「ハムスター・ウサギ・リスなどの飼い方」という本を見ると、巣材・床材として「えぞ松フレーク」が紹介されていました。
エゾマツは記憶に間違いがなければ,トウヒ(Picea jezoensis)のことです(jezoensisという種名から見るとたぶん間違いありません).某社の研究用床敷のカタログ説明には「動物の居住性を重視される方に」とあります.「えぞ松フレーク」は白っぽい色をしているはずですがどうですか?
>こういうのは一般人でも手に入りますか?
上述の「えぞ松フレーク」なら該当する製品になりますね.
それでは失礼します.
[USER0059]です.
肝臓の酵素に影響がでるってことは、外見から見た場合どんな症状になるんでしょうね。
最悪の場合,死ぬことがあります.
Netvet-Rodent Home Pageにhamsterの記載があります.
http://netvet.wustl.edu/rodents.htm#hamster
そこから以下のテキストを読むことができます.
Russian Dwarf Hamster - Phodopus Sungorus (Notes) より以下を引用します.
http://netvet.wustl.edu/species/hamsters/phodopus.txt
DONT USE CEDAR CHIPS! Many Russian Dwarf Hamsters are extremely sensitive to cedar oil. Their fuzz will all fall out, their skin will crack, and the resultant dehydration and infections can be fatal. I found this out the hard way; at the time, there was nothing in any literature about this problem. I isolated the affected animals. I had skin scrapings checked for parasites and cultured for infections. I gave the worst-affected antibiotics in a desperate attempt to save them. Nothing worked. After I had ruled out everything I and my vet could think of, by chance I came across a mention of human allergies to cedar oil. I saved most of the adults, by carefully washing and drying them, and immediately getting rid of every bit of cedar in the animal room. DONT USE CEDAR CHIPS! Pine shavings, conveniently available in ¥presspak¥ form, work quite well.
News_Group alt.pets.hamsters の中で松・杉のベディングチップは小動物には刺激が強く、発ガン性もあるらしいという話題が出ていました。医学的根拠はmedline等で探しても今のところ見つからないのですが、これって本当でしょうか?
[USER0059]は昔,生薬に関する研究をしていて,植物から水蒸気蒸留で「精油(テルペン類で低分子のもの)」をとっていたことがあります(最近はフォローしていないので書かないでといわれましたが書いてしまいます).「テルペンとかα-ピレンで検索すればでてくるのでは?」とのことです(かなり昔に報告されているのではないかと思われます).
ペットショップのおじさん曰く、森の香りがハムスターにも良く、
これもまた[USER0059]に教えてもらったのですが,「森林浴のキーワードになったフィトンチッドは,*植物がもつ他を殺すもの*という意味」だそうです.
[USER0101]です
実際、うちではうりさんがあまりいやがっていないということで、杉のチップを使い続けています。(ぢつは買ったばっかりでもったいなかったりする ^^;;)
でも、元気はつらつだし。
お使いになっているスギのチップが,どのような原材料で,どのような加工をおこなっているのかわからないので何ともいえません.ただ,スギのテルペン系物質の主要成分であるα-ピネンを精製してネズミに吸入させると活動性がたいへん高まるという報告は出ています.テルペン系物質は多種(数千以上)あり,種類によって皮膚刺激剤,消炎剤,殺菌剤,去痰剤,利尿剤等に利用されてきました.最大公約数的表現をすれば「刺激性のある薬剤」ということななります.
News_Group alt.pets.hamsters の中で松・杉のベディングチップは小動物には刺激が強く、発ガン性もあるらしいという話題が出ていました。
小動物には:マウス・ラットで検証が行われています.
刺激が強く:テルペン系物質は「刺激剤」としての一般的特性があります.
発ガン性もあるらしい:2422, 2451を御参照下さい.まだ文献はいろいろありますが
・・・
[USER_NAME]さんの表現は正確であるといえます(ひっくり返る可能性ももちろんありますが).
#超多忙になるのでこれからはほとんど投稿できません.
取り急ぎ失礼します.さようなら.